変形性膝関節症で行う主な検査は3種類

膝の痛みで整形外科を受診した場合に一般的に行われるのが、レントゲン検査です。
それでも痛みの原因が特定できなかったり、より詳細な情報が必要だったりする場合はMRI検査や、関節液や血液を調べる臨床検査を実施することもあります。
検査方法やわかること、どんなケースで行うかといったポイントをまとめました。実際には、医師が必要な検査を判断するので、その指示に従ってください。

レントゲン MRI 検体検査
どんな検査? X線で膝を撮影し、
骨の形状(変形や角度)を
写真で確認します。
電磁波を使って撮影し、関節内の
組織の状態を画像で確認します。
血液や関節液を採取して、
粘り気や色味、成分から
何の病気か調べます。
何がわかる? 変形性膝関節症の進行度が
わかるので、それに応じた
治療法を考えられます。
軟骨や半月板の状態もわかるので、
異常の発見や変形性膝関節症の
リスク予測が可能です。
関節リウマチや偽痛風、
感染症などの疾患を
鑑別することができます。
必要なケースは? 診察で骨に関する異常が
疑われる場合に行います。
レントゲンで異常が不明だったり、
より詳細な情報が必要な場合に
行います。
膝の腫れや水たまりなど、
他の病気も考えられる場合に
行います。

レントゲンってどんな検査?

骨や関節の形状などに異常がないかを確認

  • 骨折や欠けている部分、異常な突起がないかなど、骨の形状をチェックします。
  • 大腿骨と脛骨の骨の傾き具合を見て、O脚・X脚といった関節の変形を確認します。
  • レントゲン写真に軟骨は写りませんが、関節の隙間がどれくらいかによって軟骨のすり減り具合を推定します。

膝関節の正常と変形したケースのレントゲン写真

変形性膝関節症の進行具合を判断するためのチェックポイント

  • 変形性膝関節症の進行度の診断基準には、レントゲン写真から5段階に分類する指針があります。
    • グレード0:【正常な膝関節】
    • グレード1:【予備軍】関節の隙間に変化はないものの、骨棘や骨硬化が疑われる状態。
    • グレード2:【初期〜進行期】小さな骨棘や骨硬化が生じ、関節の隙間に25%以下の狭小が見られる。
    • グレード3:【進行期】骨棘や骨硬化がはっきり確認でき、関節の隙間も50〜70%狭まった状態。
    • グレード4:【末期】関節の隙間がほぼなくなり、著しい骨の変形が確認できる状態。
  • 関節の隙間が狭いほど、軟骨がすり減りが大きく病態が進行していることを意味します。
  • ダメージを修復しようと過剰に働くことで形成されるトゲのような骨「骨棘(こつきょく)」の有無や数は、診断ポイントのひとつです。
  • 軟骨のすり減りが進行すると、骨同士がぶつかり硬くなってきます。レントゲンでより白く映し出されるこうした骨の硬化も確認します。

変形性膝関節症のグレード

体勢や体の向きを変えて複数撮影することも

  • 基本的には、日常生活しているときと同じように膝に体重がのった状態、つまり立った姿勢で撮影します。
  • ただし1方向の撮影になるので、影になり鮮明に映し出されない箇所もでてきます
  • そうした箇所を詳しく観察する場合、姿勢(立つ、寝そべる)や撮影方向(正面、横、後ろなど)を変えて、複数撮影することもあります。
  • 通常は複数枚撮影しても10分前後が目安ですが、膝の痛みなどで体勢の維持が難しい場合は20分ほどかかることもあります。

 

レントゲンでわからないこと、より詳細な情報は他の検査で調べる

  • 骨以外に痛みの原因がある場合、レントゲン写真では異常が見つからなかったり、確定診断に至らないこともあります。
  • 関節の変形があっても、膝が腫れたり水がたまったりしている場合、関節リウマチや痛風などの可能性も考えられるため、検体検査を行います。
  • 骨以外の組織の損傷を調べたり、今後のリスクの予測するための情報が必要だったりする場合は、MRI検査も行います。

MRIってどんな検査?

磁気の共鳴で軟骨や半月板も映し出せる

  • 骨の形状だけでなく、骨の内部や軟骨、半月板などの状態、筋肉の炎症や出血まで確認可能です。
  • レントゲンで異常が見つからなかった場合や、より詳しい情報から診断を行う場合に用いられます。

膝のMRI検査

変形性関節症の診断とリスクの予測に役立つ

  • 様々な組織の細かい変化を映し出せるので、予備軍〜初期など早期の診断がより的確に行えます。
  • 軟骨、半月板、靭帯、骨の内部の炎症、水がたまった状態など、様々な情報が今後のリスクの予測にも役立ちます(半月板の変性や骨の炎症、水たまりなどは、人工関節のリスクに影響しているという研究報告※もあります)。
  • 以前はレントゲンだけで診断することがほとんどでしたが、近年はMRIも併用する考えが広がりつつあるようです。

「Bone marrow edema in the knee in osteoarthrosis and association with total knee arthroplasty within a three-year follow-up」Skeletal Radiol. 2008 Jul; 37(7): 609–617.

変形性膝関節症の検査(MRI)

検査方法や受けるときの注意点

  • 機器の上に寝そべった体勢で、両脚を検査する場合は片膝ずつ撮影します。
  • 動いてしまったら上手く撮影できないため、20分ほどじっとしている必要があります。
  • 検査中は機器の振動音が大きく、医療機関によっては耳栓やヘッドホンを使用します。
  • レントゲンは普段着で撮影可能ですが、MRIでは病衣に着替えての撮影になります。
  • 電磁波の特性上、体内に医療器具を入れている場合など、受けられない方もいます。
  • 撮影NGな服やアクセサリーもあるので、基本的には病衣に着替えることが多いです。

■検査が受けられない可能性がある方

・心臓ペースメーカーや人工内耳などを留置している方(MRI対応のものもある)
・手術等で体内に金属を挿入している方
・古い人工心臓弁の手術を受けている方
・刺青のある方
・閉所恐怖症の方(ドーナツ状の機器から頭は出ている状態)

■撮影時の注意点

・補聴器や眼鏡、アクセサリー類などは持ち込み不可
・化粧品やコンタクトレンズは金属を含むものもあるため、つけないことを推奨
・発熱性のある機能素材の下着なども着用しない方が良い


<Column>
軟骨の厚みが一目瞭然のMRI分析システムが登場!?

軟骨が減っているという診断を受けた方も多いかと思いますが、どのくらいの軟骨が残っているのか正確に知ることも、実は可能になっています。
MRI解析システムの最新の機器では、下の画像のようにMRIで撮影した軟骨を3D画像として構成できる、誰もがわかりやすいビジュアルで確認できるのです。
一般的に変形性膝関節症の検査で使用されているというわけではありませんが、治療前後の軟骨量や厚みの変化を視覚的・数量的に比較できるため、再生医療の治療効果を研究する目的で用いられていたりします。

変形性膝関節症のMRI画像

検体検査では何がわかる?

変形性膝関節症ではない可能性をなくしておくために検査

  • 検体検査とは、関節液や血液を調べる方法です。
  • 腫れや膝に水がたまる症状が見られる場合は、変形性膝関節症ではない病気も疑われるため、治療前に可能性を除外しておけるよう行います。

関節液では成分の他に色や質感もチェック

  • 膝にたまった水(関節液)を注射器で抜いて、炎症の原因を調べます。
  • 色や質感、成分分析などから、なんの疾患が関係しているかを調べることができます。
  • 結晶や細菌が混ざっていると濁り、炎症が強いほど粘性が低くなります。

<関節液の分類目安>※あくまで目安で、正確な診断とは異なる場合があります。

正常 変形性膝関節症 関節リウマチ/偽痛風など 細菌性関節炎
色味 無色〜淡い黄色/透明 淡い黄色/透明 黄色/半透明〜濁っている 黄色/濁っている
質感 粘り気がある 粘り気がある
(進行していると弱くなることも)
粘り気が弱い どちらとも言えない
成分 細胞数:200以下
白血球:25以下
細胞数:200〜2,000
白血球:25以下
細胞数:2,000〜100,000
白血球:50以下
細胞数:100,000以上
白血球:75以下

血液検査では関節リウマチの可能性を見る

  • 関節リウマチの場合、8〜9割方はリウマトイド因子(RF定性)という項目で陽性反応が出ます。
  • 抗CCP抗体という項目が高い値を示すことも関節リウマチの特徴のひとつです。
  • 血液中の炎症を促す反応を示すCRPの項目で陽性かどうかもチェックします。
  • 成分の他にも、赤血球が沈殿するスピードに異常がないかなどを確認して、病気を鑑別します。

リウマチ検査の目的