病院に行くべき? 迷っている方のためのご質問

Q. 若くても変形性膝関節症になることはありますか?

30代の女性です。最近日常生活で膝の痛みを感じるようになりましたが、私のような年齢でも変形性膝関節症になることはあるのでしょうか?

A. はい。早ければ20代で発症される方もいらっしゃいます。

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ってくることがきっかけで発症します。
膝の軟骨は増えたり減ったりするものではないので、長く使うほど(つまり歳をとるほど)摩耗していきます。患者さんの数が50代以上で急増するのはこのためです。
ただ、若くても膝を酷使するような過酷な状況にあると、軟骨が損傷を受けやすくなり、発症時期も早まります。
私の患者さんにも20代で発症したという方がいらっしゃいますが、その方は介護職でした。
人を抱える、しゃがむ、かがむといった重労働が影響していたのかもしれません。
この他、スポーツ選手なども若年で発症するリスクがあります。

Q. 膝の音は放置しても大丈夫なのでしょうか?

膝の曲げ伸ばしをすると「ポキポキ」「パリパリ」と音がします。特に痛みは伴いませんが放置しても大丈夫でしょうか?

A. 痛みがなければすぐに対応する必要はありません。ただ、注意は必要です。

現状痛みがないのであれば、すぐに対応する必要はないです。
ただ、今後痛みを伴ったり、音の頻度が多くなるようでしたら整形外科への受診をお勧めします。
膝の音と変形性膝関節症との関連性についてはいくつか報告があります。
アメリカの調査研究でも、膝関節の音の頻度が高いほど、変形性膝関節症になる危険性が高くなることが示されています※。
Lo GH, et al: Arthritis Care Res 70(1): 53, 2018

Q. 元々O脚なのですが、予防のために何かできる事はありますか?

O脚の人は変形性膝関節症になりやすいと聞きました。ならないために気をつけた方がいいことがあれば教えてください。

A. 姿勢の矯正と筋力の強化に努めてください。

病気が原因でなければ、姿勢の矯正と筋力の強化で改善が期待できます。
適切な姿勢を取れるようにするには、骨盤や股関節を中心に、膝、足、肩などの関節の使い方を矯正していかなければいけません。
こうして正しい姿勢を意識した上で、脚の筋力トレーニングを行います。
靴やインソールの最適化も方法の一つです。
膝専門の整形外科であれば相談を受けられるので、気になる方は一度受診してみてください。

Q. ジョギング後、膝に痛みを感じます。現在60代の男性です。

ランニングが趣味で年に1度はフルマラソンにも出ていますが、最近は日常生活でも膝が痛みます。続けても大丈夫でしょうか?

A. まずは整形外科を受診して痛みの原因をチェックしてみましょう。

年齢も加味して、一度整形外科への受診をお勧めします。
もし痛みの原因が変形性膝関節症であった場合は、ランニングは控えていただくことをお勧めします。反復的な負荷が、膝の症状を悪化させる危険があるからです。

治療に関するご質問

Q. 変形性膝関節症は治らないと聞きました。本当ですか?

整形外科の先生に「変形性膝関節症は治すことができない」と言われました。だとしたら、治療を続けるのは無駄でしょうか?

A. 完治は難しいですが、症状を悪化させないために治療の継続は重要です。

変形性膝関節症になった膝の状態を元の状態に戻すことは難しいです。
したがって完治は難しいのですが、かといって放置しておくと状況はさらに悪化していきます。
ですから、今残っている膝の機能をできるだけ長く維持し、進行を少しでも遅らせるというのが治療の目的と考えてください。
体の痛みがあるとどうしても悲観的になってしまうものですよね。
状況を良くするには、治療で痛みをコントロールすることが大切です。
「痛みを自ら操り上手く付き合っていく」という視点で、信頼できる医師の元、運動療法やその他の治療に前向きに取り組んでいただければ、きっと良い結果につながると思います。

Q. なぜ運動療法を行わなければいけないのでしょう?

主治医の先生から運動をすすめられましたが、もともと運動の習慣がなく、正直気が進みません。どうして運動しないといけないのですか?

A. 膝にかかる負担を減らし、痛みを軽くするためです。

運動療法には筋力アップを目的とするものと、筋肉を柔らかく維持するためのストレッチがあります。これによって膝にかかる負担を軽くすることができ、ひいては痛みの軽減に繋がります。
なお、運動療法には筋力アップを目的とするものと、筋肉を柔らかく維持するためのストレッチがありますが、いずれにおいても次の3点は守ってください。

  • 医療関係者の指導のもとで行うこと
  • 痛みを感じない範囲で行うこと
  • 根気よく長く(月 or 年単位で)続けること

すぐには効果が出ませんが、続ければ必ず変化を実感できます。
治療と思わず、日常的な楽しみと捉えて習慣化していただければと思います。

Q. ヒアルロン酸注射はずっと続けても大丈夫なのでしょうか?

ヒアルロン酸注射の頻度が少しつつ高くなってきています。以前は数ヶ月おきに注入する程度でだいぶ楽になっていたのですが、2年前からは月に2回は打たないと痛くなってしまいます。こんな頻度で長期間続けていて大丈夫なものでしょうか?

A. 問題はありませんが、効果を実感できないなら他の方法を考えてみても良いかもしれません。

ヒアルロン酸自体はもともと体内にもある成分なので、注入頻度が高くなることで害になるということがないと思います。
ただ、治療の効果を実感できないのに漫然と続けることはお勧めしません。もし現状に満足できないようでしたら、再生医療や手術療法なども視野において検討されることをお勧めします。

Q. 人工関節手術を受けるべきか迷っています。定期的にヒアルロン酸注射を打ってきましたが、最近急に痛みが増しました。

医師からは人工関節手術を勧められています。この手の手術は早いほうがいいのでしょうか。正直迷っています。

A. 迷ってるのなら、より具体的に検討されることをお勧めします。

変形性膝関節症の手術は急いで行わなけれいけないようなものではありませんので、まずはよくご検討ください。
その際、手術後の生活を具体的にイメージされると良いと思います。
人工関節手術の場合、術後には以下のようなことが想定されます。

  • 全置換手術の場合、入院は術後1ヵ月を要します。
  • 退院直後は今までのように動けないかもしれません(玄関に手すりをつけるなど、場合によっては自宅の改修が必要になることも考えられます)。
  • 退院後も、定期的に人工関節のチェックが必要です。
  • 人工関節を良い状態に保つために、自宅でもリハビリや運動療法を継続いただく必要があります。
  • 人工関節は一定の期間で交換が必要になり、その際には再度入院と手術が必要になります。

この手術は痛みの劇的な改善が期待できる反面、日常生活にも少なからず影響を及ぼします。
もし迷っていらっしゃるなら、再生医療など、他に代替できる低侵襲な治療法を検討されるのも一つの手です。

Q. 認知症でも手術は受けた方がいいのでしょうか?

認知症の母が、先日、主治医から変形性膝関節症の手術を勧められました。認知症の患者への手術は勧められないという情報を目にすることもあるのですが、実際どうなのでしょう?

A. 大切なのはご本人の意思を確認できるかどうかです。

認知症の方に手術をお勧めしないのは、治療内容を理解いただけなかったり、ご本人の意思の確認が難しかったりするためです。
もし初期的な認知症で、意思疎通が十分にできるのであれば、また、介護されるご家族にもご理解いただけるのなら問題ありません。

Q. 再生医療という選択肢を知ったのですが、高額なので迷っています。

低侵襲なのに優れた痛みの改善効果が期待できる再生医療に興味があります。
高額なので確実に効果が得られるなら受けたいです。事前に確認できるのでしょうか?

A. 症例数の多い専門の医師が診察すれば、おおよその見当はつけられることが多いです。

再生医療の効果が得られるかどうかは、膝の状態によって変わってきます。
一般的には初期と進行期の患者さんで優れた改善効果が期待できると言われています(病期が進行していると、治療効果が得られにくいです)。
最近では再生医療を専門に扱う施設も増えてきていますが、どこの医療機関でも受けられるものではありません。
医療機関を選ぶ際は、たくさんの患者さんに再生医療を行なった実績がある、専門の医師にご相談されることをお勧めします。

日常生活や運動に関するご質問

Q. 正座しても大丈夫ですか?

書道と茶道の師範をしています。仕事柄正座をしなければいけないのですが、それによって状態が悪くなるということはあるのでしょうか?

A. 痛みを感じないなら、限られた時間だけ正座することは構いません。

正座は本来膝にとって不自然な姿勢と言えます。
また、正座した状態から立ち上がる時には、膝に大きな負担がかかります。
こうしたことから、あまり積極的にはお勧めしませんが、痛みを感じなければ正座いただいても構いません。ただし、なるべく短時間にされることをお勧めします。

Q. 手術後スポーツを行っても問題ありませんか?

人工関節の手術を受けたのですが、術後に行っても差し支えないスポーツはありますか?

A. 水泳やゴルフなどは比較的リスクが低いスポーツです。

人工関節の術後の運動(どこまでできるか)については、各患者さんのご状態によって異なります。
実際には主治医の先生の指示に従っていただきたいですが、一般的には、過度なスポーツは人工関節の緩みにつながるので控えていただくのが無難です。
アメリカの膝関節学会の報告では、水泳、ゴルフなどは人工関節術後でも許可されています。
逆にジョギングは行ってはいけないスポーツとされています。
この他に、サッカー、テニス、バレーボール、器械体操、バスケットボール、ハンドボールなどのスポーツは避けてください(人工関節は長持ちします)。