1. 問診・触診

  • 医療機関では、まず最初に問診と触診を行います。
  • 問診では、医師が症状について細かく質問します。
  • 具体的には、
    • 痛みを感じ始めたのはいつ頃か
    • 膝のどこが痛むか
    • 1日のうち常に痛いと感じているのか、痛くない時間もあるのか
    • 日常のどんなシーンでどんな痛みを感じるか

    といった質問です。あらかじめ要点をまとめておくとスムーズに進みます。

  • また、膝の周辺を指で押して、骨や腱、筋肉の状態を確認する触診も行います。
  • その際、ベッドに横になってもらって膝の曲げ伸ばしなどをお願いします。受診の際は、スカートや短めのズボン、裾をまくりやすいゆったりしたズボンといった服装が望ましいでしょう。

膝治療に適した服装


<Column>
治療を受ける前に知っておきたい「痛みの伝え方」

問診で大事なのは、いかに正しく“痛み方”を伝えるかです。
受診前に、是非以下のポイントを押さえて、話す内容を整理しておきましょう。

膝の痛みの伝え方の例

2. 検査

  • 膝の内部や骨の状態を確認するため、レントゲン(X線)検査やMRI検査といった画像診断が行われます。
  • この他に、膝痛の原因疾患を特定するために、膝関節の中にある関節液という液体を抽出して内容物を確認する関節液検査を実施することもあります。

→検査内容について詳しく知りたい方は「検査について」へ

変形性膝関節症の一般的な画像検査

3. 治療

  • 診察や検査で判別した重症度に応じて治療を開始します。
  • 初期は進行を遅らせる目的の保存療法がメインですが、末期に向かうにつれて手術療法にシフトしていきます。
  • 比較的重度の方にも適応がある新たな治療選択肢として、数年前から再生医療が加わりました。

変形性膝関節症の重症度と治療方法

運動療法(保存療法)

〜重症度にかかわらず、全ての患者さんが対象〜

  • 膝を支える筋肉を鍛えることで、痛みを軽減したり、膝への負担を軽くしたりすることができます。
  • また、ストレッチで筋肉をほぐすことは、関節の可動域の維持と向上に役立ちます。
  • 運動療法は変形性膝関節治療中心かつ基本であり、重症度にかかわらず常に継続すべきものと認識してください。

膝の運動療法

薬物療法(保存療法)

〜運動療法の妨げになる痛みを除去〜

  • 膝の痛みが激しいとどうしても運動から遠ざかり、筋力の低下を引き起こします。
  • すると、ますます運動が億劫になって、さらに筋力が衰えていく可能性があります。
  • 薬物療法の大きな目的の一つは、この悪循環を断つことです(膝の痛みを抑えることで、運動療法を続けるモチベーションを維持します)。

代表的な薬物療法

アセトアミノフェン 非ステロイド消炎鎮痛薬
(NSAIDs)
オピオイド鎮痛薬 ステロイド薬
効能 鎮痛効果(比較的安全) 鎮痛効果
抗炎症作用
強い鎮痛効果 鎮痛効果
抗炎症作用
注意すべき副作用 食欲不振
胃痛
消化器症状など
胃腸障害 便秘、めまい、吐き気、眠気 繰り返しの使用で、
骨や軟骨に悪影響の可能性あり
使用形態 内服薬 内服薬 内服薬
貼り薬
注射

ヒアルロン酸注射(保存療法)

〜関節液に近い成分を注入し、膝の動きを滑らかに〜

  • 膝関節の中は関節液という液体で満たされています。
  • この関節液に近いヒアルロン酸を膝の中に注入することで、膝関節の滑りを滑らかにするとともに、痛みを緩和します。
  • 薬物療法と併用されることが多い、最も一般的な保存療法の一つです。

寒冷/温熱療法(保存療法)

〜血行促進と痛みの緩和に有効〜

  • 患部を温める治療を温熱療法、冷やす治療を寒冷療法と言います。
  • 温熱療法では血行促進と可動域の拡大を狙います。温湿布やホットパック、入浴などの他に、医療機関で受ける電気療法、レーザー療法、超音波治療などがあります。
  • 寒冷療法は患部の炎症が強いとき、腫れを抑えるのに有効です(ただし、冷やしすぎは要注意です)。

保存療法の例

治療法 電気療法 光線療法 レーザー療法 超音波治療
内容 膝周辺に微弱な電流を
流すことで刺激し、
症状の回復を促す。
赤外線の温熱効果で
痛みを和らげ、
新陳代謝を促進する。
低出力レーザーで
血流を改善し、
痛みをやわらげる。
超音波を当てることで
体の深部への
マッサージ・温熱効果
がある。

再生医療

〜低負担で長期的な効果が期待できる先進治療〜

  • 再生医療は、血液や脂肪細胞など自分自身の組織を材料とし、これを膝関節の治療に活用します。現在実用化されている主な治療法は、PRP療法と培養幹細胞治療です。
  • PRP療法は、患者さんの血液から多血小板血漿(=PRP)という成分を抽出し、患部に注入します。血小板から分泌される成長因子が組織の修復を促進すると考えられています。
  • 培養幹細胞治療では、脂肪に含まれる幹細胞を抽出し、これを培養して患部に注入します。多数の幹細胞の働きで、組織の修復や痛みの抑制が期待できます。
  • 自己組織を使用するので、いずれも拒否反応の心配はありません。
  • 保存療法(薬物療法やヒアルロン酸注射)を行っても効果を実感できないという人、医者に手術を勧められていて受けるべきか迷っている人などは検討の価値があります。
  • 現状では、国の許可を得た施設でのみ、主に自由診療で受けることができます。

変形性膝関節症治療で行われている再生医療

【参考】
PRP治療 血液を材料に行う治療|ひざ再生医療ライフ
培養幹細胞治療 体性幹細胞を材料に行う治療|ひざ再生医療ライフ

手術療法

〜確実に痛みを除去できる、重症者向けの治療〜

  • 保存療法で十分な効果が得られない場合に、手術療法を検討します。
  • 高位脛骨骨切り術は、骨を切ってつないでO脚を矯正する手術です。以前は若年者によく行われていましたが、人工関節の耐用年数が伸びた現在では、実施件数が減りつつあります。
  • 人工関節置換術は、関節を切り取って人工関節に置き換える手術です。利点は、術後は痛みをほとんど感じなくなることですが、正座のように深く膝を曲げる動作はできなくなります。
  • この他に、関節鏡視下手術があります。体への負担が少ないので、高齢者や持病のために大きな手術を望まない人、人工関節置換手術を先延ばしにしたい人などに行います。

変形性膝関節症の手術方法